ドルフィンウォッチング

観劇や推しの活動の個人的なメモ。

#みんな大好きヴァルヴァーニ!「シラノ・ド・ベルジュラック」

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 みんな大好きヴァルヴァーニ!
 日生劇場で5/30(水)まで、その後6/8(金)~10(日)まで兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで公演があります。
 お誘いあわせの上ぜひ劇場へどうぞ。
 三時間超の大作、主人公シラノの百人斬りと台詞回しはとにかく圧巻。
 戦う男たちが強く美しく、そして楽しくも悲しい恋の物語です。

 以下がっつりとネタバレを。




 みんな大好きヴァルヴァーニ子爵。
 叔父の権力を笠に着るイヤなお貴族様です。
 でも頭が足りないのでそこまで横暴ではないです。たぶん。
 いばりんぼでお子さま。発音は8割ひらがな。
 トレードマークはプラチナブロンドと赤タイツ(おみ足ほっそい)。
 その豊かな御髪はギリシャ神話の美少年に喩えられるクリスチャンにも引けを取らないほどの美しさなんですよ!ちょっとウェーブがかっているのがこれまでにない可愛らしさ!黙っていれば美少年なのに言動で台無し!
 というか黙っていてもフワフワしていてよくもまああんな軽さが出せるなという!*1
 観劇の前に帽子を取ったあとにこれ見よがしに首の後ろに手を入れてファワファサしてみせるのが素敵。そのあと人差し指を鼻につっこんでグリグリするので台無しですけど!そして大あくびの連続。そもそもエスコートがなってない。でも終始笑顔だからなんか憎めない。
 決闘を申し込むシーンも最高!
 例の「無謀にもシラノに決闘を申し込み、こてんぱんにやられてしまう」アレです!
 あの絶妙にタメのきいた、全然かっこよくない、スマートさのみじんも感じられない不慣れな手袋の投げ方ができるのは、あの世界ではヴァルヴァーニくらいのもんでしょう。
 シラノやクリスチャン、そしてガスコン青年隊の隊士たちがかっこよければかっこよいほどヴァルヴァーニのダメっぷりが目立ち、ヴァルヴァーニがダメなことによってまたかえって他の方々の強さが引き立つという、素晴らしい役柄を請け負っています。
 すごくいいキャラをいただきました!ありがとうございます!!
 シラノ自身が情熱家でありながら抜きんでたコメディアンで、笑いの部分すら自分で担当していますから、ヴァルヴァーニはそこまで笑いは取りません。ただシンプルに足りていないだけ。だから薄いけれど、確かな存在感があります。また真の悪徳はド・ギッシュ伯爵で、ヴァルヴァーニ子爵は言いなりになっているにすぎません。出過ぎない三流っぷりがさすがでした。

 結局こてんぱんにやられたヴァルヴァーニは、開始間もないこのシーンであっさり退場となります。(退場時の一言がさりげない日替わりポイントなのでツイッターで検索すると幸せな気分に……。)
 続いて出てくるのは二幕、消耗した戦線にのこのこ現れる、空気の読めない・あえて読まないお貴族様たち。
 衣装のキラキラ度マシマシに、シラノに受けた傷が治ったぞってふんぞり返って再登場です。
 合図のスカーフを張りきってぶん回して回しすぎてグルグルのミイラみたいになっちゃう姿が天才的アホの子。
 そう、彼は可愛さにかけては天才なのです!
 あーカワイイ。ただこのスカーフのせいでみんながピンチに陥るんですけど。
 補給を持って駆け付けたロクサーヌの美しさに未練たらたら、でも、人のものになった女なんかいらない!と強がってみせる姿もかわいい。
 ロクサーヌの覚悟を受けて、自らも戦場に残る宣言をした叔父に、面と向かって抗議はできないけどずっと「やだーやだよー!」ってダダこねる姿が本当にアホかわいい。戦場になにしに来たんだ。叔父と一緒に横からいちいちアレコレ口をはさむためなんでしょうけど。
 そしてその時に!泣きわめくヴァルヴァーニに!!ガスコンの隊士たちが!!!
 マントで彼の涙を拭って差し上げたり!!!!
 食料を彼のために取って与えたりするんですよ!!!!!
 みんな大好きヴァルヴァーニ!!!!!!
 誇り高きガスコンの隊士たちに敬礼。
 ありがとうガスコン青年隊。
 素晴らしいガスコン魂よ永遠に。

 そしていよいよ敵部隊との交戦、負傷したヴァルヴァーニは叔父に支えられて登場するのですが、倒れたロクサーヌを前にあっさり手を離されてしまいます。倒れるヴァルヴァーニ。おろおろする侍従。そこで助けてくれるのがみんな大好き優しいラグノー!
 「パンやさんありがとおー!!」
 その時のヴァルヴァーニのセリフ、これは全ヴァルヴァーニシンパの心の声でもありました。みんな大好きヴァルヴァーニ。
 青年隊はこの戦場を墓場とする誓いを立てて、最期の死闘を繰り広げます。
 やがて時は流れて十四年後。ヴァルヴァーニは登場しません。
 叔父は大出世を果たしますが、彼は一体どうなったか。描かれませんがそれでも十分。彼は若いシラノの勇ましさを引き立てるための存在であり、十四年後にも清貧を貫く彼とは違う世界にいることだけは確かです。


 ヴァルヴァーニの出番は大きくこの二場面なのですが、今回平野さんはアンサンブルとしていくつかの場面に出ています。
 基本主演が多くて、大きい舞台でも今まで兼役はほとんどなかったのでアンサンブル姿はすごく貴重です。(そう思うと今までなんて贅沢な観劇をしてたのかと思いますね!)
 あえて照明を落とした場面もあって全部はわからないのですが、黒髪にチョビ髭、でも化粧はそのままなのでやたら頬の血色がいいならず者や隊士がいればそれが平野さんです。笑
 最初見た時気づかなくて、ガスコン青年隊の紹介場面すごくかっこよくて推しも参加してたらなーって思ってたら参加してたっぽい?よかった!
 あそこはもっと何回でもちゃんと見たいです。
 名もない隊士ですからもちろん悪目立ちするわけにはいかないのですが、よーく見ると新田くん演じる隊士と仲良しなんですね。ニコイチかわいい。
 ていうか、推し以外で100点満点以上あげたいのがにったん@新田健太くん!
 まずダルタニャンとしての勇ましい姿で、他の場面でも常にキレッキレの美しいアクションで、すごく見栄えがしました。100人斬りなんて手を変え品を変え斬られまくっていて、それでも息切れせず常にクールな表情。アンクたん(インフェルノ)また観たい。
 そしてヴァルヴァーニが隊に合流したときには食料を一緒に食べてあげる心優しい世話焼き男でもありました。
 月よりの使者のお伽噺で、六角さんをリフトするところが力持ち!って感じでホレボレ。
 他にも力技の場面にはだいたい参加されてて……惚れてしまう……細マッチョかっこいい……。
 そして逆に推しはせいぜい椅子を運ぶくらいで、重いベンチを運ぶ時はそっと手を添えるだけっていうのがもうもうもうもう筆舌に尽くしがたい最高っぷりでした。
 テニミュ1st全国立海全編のベンチ運びの時もお手手添えてることが多かったので……!
 そういう非戦闘要員的なメンズを遠くから眺めるのがとてもとても好きなのでした。

 そこらへんのノスタルジーも刺激されつつ、なにしろ物語の本筋が素晴らしいから三時間あっという間なんですよ。
 しかも生演奏のピアノとパーカッションが、それだけとは思わせないくらいの重厚っぷりで、非常に贅沢な舞台を観ることができました。
 S席12,000円となかなかのお値段なんですけど、できればもっとたくさん観たい……。
 お値段のせいかハケ具合もアレだったみたいでイベントとか特典とか、あとご招待もたくさん出てたようなので、そのへん最初から均してくれたらな……難しいんでしょうけど……。

 そんなわけで23日昼公演はスイーツお渡し特典つきでした。
 推しの選んだスイーツを、舞台衣装のままで手渡ししてもらえるという、信じがたいくらいにハッピーなイベントでした。
 舞台ではあんなふにゃふにゃなのに、渡すときお顔がちょうマジメだからギャップにびっくりしてしまいました。美しかったです。
 一言ずつ言い合ったくらいで会話らしい会話もなかったですが、たまの接触はありがたみがすごいです。


spice.eplus.jp

natalie.mu

*1:ところであの扮装でガチな気取った貴族の役も観たくありませんか。観たいですよね。絶対にかっこいい。堤ちゃんとか明智みっちゃん系のクールビューティが絶対に観たい。