ドルフィンウォッチング

観劇や推しの活動の個人的なメモ。

令和最初の推しが最高すぎる「ミュージカル 憂国のモリアーティ」

 モリミュ、最高でした。
 久しぶりにこれは絶対に足さなければならないと強く思う作品でした。(そう思った方が多かったようでリピチケは長蛇の列、プレイガイドのチケットはほとんど残っていないようですが。)
 舞台化のための原作アレンジ、キャラクターの再現度、キャストの演技力と歌唱力、適度な尺、スムーズな場面転換、どれをとっても素晴らしいの一言。

 とりわけメインキャストの歌とそれに華を添えるアンサンブルのダンスが美しく、2.5次元というより普通のミュージカル作品、それも世界初演の名作ですよね?と思うほど。
 (推しの出てない2.5次元にはまったく詳しくないですが)いよいよ2.5次元もここまで来たか…!と唸らずにはいられませんでした。

 東京公演は5/10(金)~5/19(日)まで天王洲銀河劇場にて、大阪公演は5/25(土)~26(日)まで柏原市民文化会館リビエールホール大ホールにて上演されます。


 以下、多少のネタバレを含みながら思いのたけを綴ります。




 なんといっても推しのシャーロック・ホームズが正解すぎた。


 漫画そのものであり、それ以上でした。

 舞台化を知って原作の既刊を読んで、推しならコレは余裕で再現できるだろうなーとは思っていたんですよ。過去の役柄で類似ものはぱっと思いつきませんが、探偵役ならば「名探偵コナン~洋上の迷宮~」でもって長台詞をものともせず舞台上を支配した経験なんかもありますし。
 でも、それ以上のものが出てきたんでめちゃめちゃびっくりしました。

 前半はモリアーティ兄弟がメインなので、冒頭歌ってそのあとしばらくは出てきません。
 とある事件でウィリアムと顔見知りになるのですが、もうその瞬間からすでにホームズです。
 漫画の動きのヒントのすべてをきっちり拾い上げて、もうどう考えてもそれしかないって動きをつけてきてます。「イイネ!」とか。
 これは脚本・演出の素晴らしさでもあると思うのですが、そういうわけで舞台にいたのは間違いなくあの世界のシャーロック・ホームズでした。

 頭の回転が非常によく、謎に出会うと夢中になって、他人に説明するときは頭の中に渦巻くすべてを口にするのが追いつかないようなセリフ回しはとにかく圧巻。
 「明らかだろ?」という口癖、原作を読んだときは印象に残らなかったのですが、こともなげに、でも不敵さを滲ませて言い放つそのニュアンスがまさしくホームズでした。
 ふだんはのらりくらりとしてるのに、事件が起こったとなると変わる表情、隠し切れない興奮、その病的な笑みがすごい。ジャンキーの片鱗。
 なのに日常パートの賑やかさも原作通り、きっちり笑いを取りに来ます。舞台にありがちなややグダなシーンですが一緒にやってる山岸さんやしゅんりーも手練れで安定の楽しさ。

 そして何と言っても歌声です。
 悪を斃すために自ら悪魔を演じるウィリアムの神がかった高音とは対照的に、ニヒルに語りかける低音の歌声がもうもうもう超絶セクシーでした。
 彼、ちょっと草臥れた感じの大人の色気があります。
 黒いスーツに包まれた細身の体を折り曲げて這いつくばって事件の捜査をするシーンなんかもうどうしようかと思いますね。
 しかも両手には手錠がかけられているんですよ。
 手錠が似合います。
 どうしてそんなに拘束されている姿が似合うんでしょう。
 でも従順さはまったくありません。そこが余計にそそります。
 前髪をうっとうしげに払う仕草、後ろで結わえた髪のおかげで強調される白い喉……これらはぜひ劇場でご覧いただきたい芸術品です。
 ジョンに着せられた鹿撃ち帽・コート・パイプのちょっとちぐはぐな感じがまたカワイイ。その帽子をヴァイオリニストの方に差し上げちゃう自由さ……あーもうほんと好き。最高。

 舞台ではどうしても推し中心に見てしまうのですが、今作はとにかく全員が歌も演技も顔面も120点満点って感じです。
 よくもまああんなに原作そっくりでかっこよくて歌もうまいメンツを集めたものです。
 とにかく鈴木勝吾くんの歌声、「そんな音から歌いだすの?ほんとに?」となる高音がすごい。顔もきれいで歌声もきれいって何事なんでしょう。
 一慶くんはテニミュぶりだったので大人のイケメンになっててびっくり。
 くぼひでさん井澤さんは安定。赤澤くん初めましてだったけど噂通りにかわいくかっこよい。
 小南くんなんて顔面が整いすぎて役柄とのギャップが美味しすぎ。
 ケンケンさんは出番がやや少な目なのにキラッキラのワンコみたいな笑顔でツメアト残すのが最高。ブロマンス力高い。

 そして脚本がきちんと原作準拠で、舞台用の改変も違和感が少なく、余計なキャタクターは出てきません。
 セリフも漫画そのもの。もともと登場人物が凝ったセリフまわしなので舞台向きなのかもしれません。ミシェルの「私がお支払したのは0ポンド0シリング0ペンス…」みたいなかっこいいシーンも、そのまま最大限生かされています。このミシェルはじめアンサンブルの方もすごく上手で、一曲目からはっとひきつけられるのは、あのキレのある動きのおかげでもあります。

 歌は思ってた以上に曲数が多かったのですが「この歌は別にいらないよね…?」と思う曲はありませんでした。
 上演時間2時間30分(途中休憩10分)というのも個人的には好感が持てました。2.5作品だと無理に見せ場を作ろうとして延々戦闘シーンが続く場面があったりするものですが、そういったダレもなく、舞台の流れと歌でそれぞれの良さが出ていたと思います。

 あと忘れてはならないのが生演奏で、ピアノ+バイオリンなんですが、ホームズがバイオリンを弾く設定からか、前半はピアノ、後半はバイオリン多めと使い分けがされています。ドアの軋みなんかもバイオリンで効果音をつけていて超絶贅沢でした。


 というわけで令和一発目の推しにふさわしい最高の作品でした。
 「憂国のモリアーティ」はステージ化も控えているとのことですが、このミュージカルのあとにやるのはかなりのプレッシャーでしょうね。
 いっそそっちのホームズも平野さんがやってくれないかなーなんなら再演してくれてもいいんですよ。続編もやってほしいけど三次元化のハードルの高い新キャラが出てきますのでどうなることやら。
 なんにせよマーベラスさんにおかれましては今後とも平野良をどうぞよろしくお願いいたします。


ミュージカル『憂国のモリアーティ』
 ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ:鈴木勝吾
 シャーロック・ホームズ平野良
 アルバート・ジェームズ・モリアーティ:久保田秀敏
 ルイス・ジェームズ・モリアーティ:山本一慶
 セバスチャン・モラン:井澤勇貴
 フレッド・ポーロック:赤澤遼太郎
 ジョン・H・ワトソン:鎌苅健太
 ミス・ハドソン:七木奏音
 ジョージ・レストレード:髙木俊
 レニー・ダブリン男爵:山岸拓生
 ジェファーソン・ホー:山﨑雅志
 ブリッツ・エンダース伯爵:小南光司

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