ドルフィンウォッチング

観劇や推しの活動の個人的なメモ。

舞台アオアシと11月の初演出作品について

舞台『アオアシ』 - amipro


 まずアオアシ。少しネタバレします。
 これが意外におもしろかったんです。
 失礼な言い方かもしれませんが。
 評判通りに熱くて、とにかく熱くて、若い選手たちが走ってもがき苦しんで成長している姿が美しくて、何度か泣いてしまいました。
 悲しくない方の感動で泣きたい人にはおすすめしたい作品です。

 ちょっと雑めのセットやアンサンブルの少なさ全体的なテンポ等々もどかしさを感じることもありましたが、役者陣が表現でカバーしていて、終わってみれば惜しみなく拍手したくなる作品でした。
 なにより原作がすごく読みたくなる。
 今回は既刊が長めなのとモリミュ配信にウツツを抜かしていたのとで予習しませんでしたが、読んでから観た方がよかったかな。
 でもwiki見たら単行本11巻までの内容みたいで、原作知ってたらはしょりすぎて物足りなく感じたかも。
 あの内容で面白いってことは原作は相当情報量が多そうなので。

 ざっくりあらすじを書きますが、主人公の青井葦人は地方在住、弱小チームに所属するもののサッカーのセンスは抜群。
 東京のユースチームの福田監督に声をかけられ、上京してセレクション(選考)を受けることに。
 ギリギリのところで合格、入団するもののチーム内はA、Bに分けられておりアシトは下位のBチームへ。自分のこれまでのプレイスタイルが通じずに焦りを募らせるが、周囲の助けもあって自分の弱みを見つけ、基礎練習からやり直して成長。
 チームでも存在感を出せるようになってきたところでFWからDFへの転向を命じられ──と、アシトは作中何度も挫折と成長を繰り返します。
 それがとにかく熱い。見てるこっちも悔しい。成長したら嬉しい。でもまたすぐ次の壁にぶつかっちゃう。
 杉江大志くんの演技、これまで見たもので一番好きです。

 チームメイトは仲間ですが同時にAへの昇格枠を争うライバルでもある。Aへ上がっても結果が出せなければBへ戻される厳しい世界です。
 ユースチーム内は、ジュニアユースからの持ち上がり・スカウト・セレクションと様々なので当然ぶつかり合います。
 特にジュニア出身はプライドも高いしプロになることへのこだわりから必要以上の練習などには非協力的。怠惰ではなくて将来を見据えて自分の体を守るため。そもそもチームの目的はプロ選手の育成なので理論的には間違いないのですが、限界を超えて全力でぶつからなければ勝てない相手もいるわけで……この葛藤。熱い。
 アシトよりもっと上手な子たちも、みんな悩んでもがいているのがいい。だから嫌いになる子がいない。橋本全一くん演じる阿久津は常にアシトにつらく当たるイヤな先輩ですけど、お金の話とか持ち出すのも正論で優しさだと思いました。私の地元はサッカー王国的なところで同級生にもJリーガーがいますが、プロを目指してる子は実家が裕福か、お母さんがパート掛け持ちしてるかって感じでした。
 ちなみに推し以外ではジュニアユース出身の黒田勘平くん(山中健太くん)が好みでした。小柄でクレバーで負けん気が強くてかわいい。

 サッカーシーンではボールを使わないテニミュ方式、さらに選手もメインキャラ+αのみで11人いないです。
 シアタ-1010なので広くないってのもありますが場面だけをうまく抜き出してる感じ。
 で、選手を横並びで走らせてフィールド内を表現。これがすごく臨場感がありました。
 試合中の心境や、選手が次の手を閃いた瞬間など、漫画的な表現がよく伝わってきました。
 アイコンタクトでパスがつながると興奮するし、パスが通らないと悔しいし、本当の試合を見てるみたいでした。
 動きやポジションの解説も適宜入るのでサッカーに詳しくなくても楽しめました。

 そして私がこの舞台を観た最大の目的は福田監督を演じる平野良くんだったのですが……文句なしにカッコよかった。
 私が見た日はちょっとお疲れだったのか何回か噛んでましたけどね。5日連続マチソワってどうなのよ。

 元プロ選手で現ユース監督、指導方法はなかなか型破り、そして彼にもまた過去の栄光と挫折があり……役どころ、ピタっとハマってました。
 わが推し、10年くらい前まで選手の側にいたわけなんですよ。テニミュで。
 当時最年長だったとはいえ今は監督の役。しかも役自体も本人の実年齢より若いというオマケつき。
 この時の流れ…それを見届ける喜び……。

 白パンツにサンダル、黒のシャツってシンプルなのにかっこいい。お髭もよい。
 しゃべらない場面で足指をマッサージするような動きだとか、サンダルをズルズルして歩く感じだとか、細かい雰囲気作りも抜群にうまいんだなー。
 アシトの才能を嗅ぎ当てて成長を見守っている。特別扱いはしない。でも自分の求めるところまでたどり着いてほしいと思っている。
 普段は直接指導せず、アシトへの指導はコーチである伊達望が担当していますが、彼もまた手取り足取り教えるタイプではないのでアシトは苦労します。もちろん成長を促すためなのですが。
 コーチ役は林野健志さん、そうタケちゃんさん! 彼もまたテニミュでは選手、今回は指導者側。
 この大人側の駆け引きの場面もまた面白いんです。
 というかあの並びの絵面がとてもいい……私の好きなやつ……。
 福田監督はべつに居丈高とかではないしアシトにはおっちゃん扱いされてるのに、望さんと話してるときあんなに女王様然として見えてしまうのはなぜなんですか……?
 望さんが寡黙忠犬キャラだから……?
 不意に性癖を突かれてしまってとても動揺しました。ごちそうさまでした。


 そしてあえてこの記事に足そうと思った、11月に行われる平野良くん初演出作品である「BIRTHDAY」。
 正直、私は推しにはいつでも一番前の一番光ってるところにいて欲しいので発表を聞いたときは素直に喜べなかったのですが。
 「アオアシ」で走りに走り続ける若い子たちを見ていたら、演出もありだなって思えました。
 あの中に混じって一緒に汗だくになって走るのはさすがにもう違うなって。
 高校生の役だってなんなら小学生の役だってやろうと思えば全然できる人ですけど、できないという意味ではなくて、あの場で走るべきなのは若い俳優さんだし若い俳優さんたちに監督の役は務まらない。
 そして推しは以前から演出をやってみないかと言われている。つまり演技のセンスを買われて別の方法で表現しようとしているわけですから、それは絶対に面白いだろうし、応援したいなと思うことができました。

 ちなみに平野さんの今後の予定としてはアオアシの後、
 ■ハンサム落語2ndシーズン
 ■2.5次元ナビ!公開収録
 ■FACTORY GIRLS~私が描く物語~
 (以下レギュラーまたは不定期)
 ■おももく
 ■2.5次元ナビ!
 ■カナフルTV
 ここに演出も加わるなんて、なかなか充実したお仕事っぷりです。