ミュージカル『憂国のモリアーティOp.2-大英帝国の醜聞-』
観てきました。信じられないくらい最高でしたので久しぶりにブログを書きます。
なんといっても生の舞台です。約半年ぶりとなるその奇跡をモリミュで味わうことができて本当に幸せでした。
モリミュ、前作をご覧になった方ならもうお分かりかと思いますが、とにかくみんな歌がうまいんですよ。メインキャストもアンサンブルも関係なく歌う。歌ってハモる。しかも生演奏。耳が幸せ。
今回はキャラクターも増えるし二度目だと初見のような感動は減るだろうし……なんて思っていたのですが、当然のようにそこを超えてきましたね。
難易度の高い楽曲の数々、それゆえ可能になるテンポの良さ、丁寧な原作の再現とアレンジ、なにより俳優陣の解釈ズレのない演技。
見終わった瞬間からすでにもう一回見たくなる観劇特有の中毒性を感じられて大変満足でした。
気になった方はぜひ劇場へ!とは言いづらい状況ですが、今作はDMM.comでも配信予定です。
東京8/10(月・祝)12時17時、京都8/16(日)12時17時、ディレイとライブがありますので詳細は以下をご覧ください。
ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2 -大英帝国の醜聞- 特設ページ - DMM.com 動画
以下、ネタバレも含む感想となります。
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今回は原作の3巻以降になります。
「バスカヴィル家の狩り」
「二人の探偵」
「大英帝国の醜聞」
この三本がスムーズに展開します。(ちなみにモリミュではQ、ミスマネーペニーは出てきません)
冒頭は初演とほぼ同じ。テンション上がる!
最後、アイリーンの高音が入ると印象がかなり変わりますね。
そして曲が終わったあとの、いつまでも鳴りやまないんじゃないかという拍手。
私もちょっとだけ、本当にちょっとだけですが涙が出てしまいました。
だって一曲目から完璧にずっと観たかった「若手俳優がかっこいい舞台そのもの」で、まるで夢見てるみたいな気分でした。
バスカヴィル家の狩りは、モランとフレッドの見せ場。
残念ながら「橋の上の踊り子」は採用されなかったのでモラン大佐の「踊れ踊れ」はなりませんでしたが、1幕で一番目立ってたの、ある意味では井澤くんじゃないかってくらいソロが圧巻でした。もともと歌が上手なのに声量がすごいことになっててびっくりしたー!
顔がよくて足が長くて歌もうまくて……もう大抵の女の子は彼のことを好きになっちゃうのでは? リアルモラン大佐なのでは? きつねバーンって踏んだ高い靴(by推し)とかはよく分かんないけど。
歌の増量でいえば一慶くんも負けてませんね。
一慶くんは原作ファンにはたまらないであろうウィリアム超強火・兄さん大好きルイスなのですが、いきなり「兄さん」が散りばめられまくった歌を熱唱。最高か。
貴族を狩るシーンの「兄さんの為に上手く焼けた…それだけです」の解釈が完全に一致、からの、♪ご自身で選んでください…炎か…血か…
その狂気、恭順、色気がすごいー。
あいかわらずモリミュの漫画のセリフが下敷きになった歌がどれも最高。
フレッドの「♪ウィリアムさん」もかわいい。秘めていた感情をさらけ出すシーンがあるので、前作の淡々と仕事をこなす様との対比が、漫画とおんなじに再現されていてフレッドいい子すぎて好きになっちゃう。
兄貴肌のモランがまたかっこいい。
そして二人の探偵、つまり列車!
原作読んだ人ならだいたいこれ絶対舞台化して!!ってなる話。
なんと!
シャーロックの!!
ヴァイオリンがありまーーーーーーーーーーーす!!!!!
最高。
犯罪卿を渇望するシャーロックが虚空に銃を撃つところ、そこに至る葛藤と混乱、狂気が素晴らしすぎてもう本当にただのシャーロック・ホームズ本人連れてきた感じ。
勝手にイライラした挙句ジョンに対する態度がひどすぎて嫌な奴すぎるし、ケンカ別れのシーンは見てて本当にハラハラするー今すぐジョンに謝ってー!
言い忘れてましたけど冒頭のジョンとハドソンさんの苦労人コンビのお歌もキラキラかわいくて最高なんだなあ。
その後食堂車で偶然ウィリアムを見つけたシャーロック、機嫌が直るの通り越して、完全に躁状態。
薬中というよりもはやウィリアム中毒的になってるのがよーくわかります。躁鬱の表現に定評のある平野良。(ex.文アル太宰治)
そしてハイテンションこじらせてリアム呼びでなれなれしく絡むシャーロックに対する嫌悪感と嫉妬心むき出しのルイスがさー……いちいち原作通り!
ルイスの視線やわずかな動きにお客様からほわああ~と満足のため息や笑いがこぼれているのを確かに感じました。
なによりシャロ乱入の瞬間のモリアーティーチームの「♪シャーロック・ホームズ」!!!!!
あそこで瞬時にテレパシー的に状況を共有しあうモリアーティチーム、あの漫画的表現、鮮やかすぎててなんかもう泣きそうでした。全然泣けるシーンじゃないのに。
しかも漫画を読み返したらあそこ原作だとモランとフレッドいないのね。護衛的に自然に存在していてなおかつ状況の説明もできるなんて西森さんのアレンジが天才すぎる。
そしてお待ちかねの!
「Catch me if you can, Mr.Holmes.」
はあ……。
息が止まるかと思った。これですね。大正解。みんなこれが見たかった。
鈴木勝吾くんのウィリアム、本物すぎて、正解すぎて、もう全部すんなり入ってきちゃって、歌とかすごい通り越してすごいのにすごすぎて全然覚えてなくて、早く配信見たくて仕方がないんですけどこれだけはハッキリ覚えてます。
あと民衆が群がって後光が差して救世主っぽくなるシーンもよかったんだけどどのシーンか忘れちゃった。
推理の内容は歌の掛け合いでノアティック号の進化版、もしコロナがなかったらここで劇場全体が列車になっていたのかもしれません。
初見ではちょっと複雑で聞き取るの難しいかな…?そんな歌わんでも…?とか思ってしまったけど慣れると楽しすぎた。
♪シュッシュシュシュッシュシュは♪あっちこっちそっち的なキャッチーソングで楽しい。
事件解決後、仲直りのヘタクソなシャーロック……かわいすぎか……。
そしてストーリーはサブタイトルにもなっている大英帝国の醜聞へ。
今回からマイクロフトが登場し、また一人モリミュにいい男が増えてしまった。最高。
アルバートとのシーンは大人の色気がいいですね。
国家そのものなのに気軽に221Bを急襲するマイクロフト、振り回されて燃え尽きるシャーロックかわいい。
このあとアイリーンにもやり込められちゃうし、今回シャーロックは苦労が絶えません。
そのアイリーン、原作通りの美女。
さらにハドソンさんとのシンデレラのシーンがコミカルでめちゃくちゃおもしろい!
奏音ちゃん、お歌が上手なのに前回ちょっとしか歌わなくてもったいないなーと思ってたけど今回のあの♪ピッチピチのキッツキツよ!のくだり本当に大好き。ピアノの境田桃子さん本当にお疲れさまです。
バイオリンの林ホームヅ周雅さんも変わらず面白い。先日「題名のない音楽会」に出演されてたから、お忙しくなったんじゃないかなと思ってたけど続投してくださってよかった。
アイリーンに振り回されるシャーロック、公園でのやり取りを経て、女嫌いのはずが少しずつ打ち解けていきます。
そして最後、アイリーンを助けるべく奮闘する姿から、ホープを殺せばよかったという1幕の彼の言動が本心ではない、少なくとも彼が心からの悪人ではないということが描かれます。
と同時に、アイリーンを通じて、科学で事件を解決して不平等を解消したいシャーロックと、貴族社会を破壊して平等を目指すモリアーティ陣営の、両者の目指すものが実は同じなのだと自然に観客に提示されるわけですよ……すごいね……。
三時間超の大作なんですけど無駄なエピソードが全然ない。
核となる文書をめぐるストーリーはやや説明的に進行するのですが、終盤、仮面舞踏会の音楽がすごくいい変化になります。場面が一気に華やかに。
モリミュは本当にアンサンブルさんの歌がうまいし動きもきれい。
あとロナルド・ロリンソン男爵めちゃくちゃ歌がうまい。声がよい。
ここでフレッドがメイド姿になって毒を盛るシーン、赤澤くんの女装めちゃくちゃかわいいので口説いちゃった男爵の気持ちがとてもよくわかります…可憐だ…。
原作にはないシーンですが、原作によくある事件解決方法を踏襲していますので違和感なし。ブルーベリーの花言葉、ベラドンナの花言葉。
そしてもう一つの場面、原作にはないモランが炎上を阻止する劇場にて演じられる「ドン・ジョヴァンニ」が男爵を表しつつ、ここで「黄金の軍隊を持つ男」のエピソードも含まれているんですよ……!
さらにロリンソン男爵が亡くなったあとの「おい、なぜ演奏を止めるんだ!続けさせろ!」という原作通りのセリフで、中断されていたピアノとヴァイオリンの演奏が再開される……ここは震えました……こんなに気持ちよくピタっとハマる演劇があっていいの……?
西森さん……天才すぎる……。
書くところを逸してしまったので最後になりますが、一幕終わりの歌がまた今回もすごーく良かったです。
最後はもう気持ちがいっぱすぎてどんな歌でシメたのかもう覚えてないや……ウィリアムもシャーロックもめっちゃ歌ってたしいい歌いっぱいあったのに怒涛の曲数過ぎて記憶から飛んじゃってるのかなしすぎる……本当に早く配信が観たい。
本当に多くの人に見てほしい作品だし、コロナさえなければキャストさんに満員の客席をお見せできたのにと思うとやるせない気持ちでいっぱいです。
どうか無事に千秋楽を迎えられますように。そして映像に残りますように。
続編でも再演でも構いませんからまたモリミュの世界に劇場で再会できますように。
ミュージカル『憂国のモリアーティOp.2-大英帝国の醜聞-』
東京 2020年7月31日(金)~8月10日(月・祝) 天王洲 銀河劇場
京都 2020年8月14日(金)~8月16日(日) 京都劇場
原作・構成:竹内良輔
漫画:三好輝
脚本・演出:西森英行
音楽:ただすけ
主催:マーベラス、TCエンタテインメント
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ:鈴木勝吾
シャーロック・ホームズ:平野良
アルバート・ジェームズ・モリアーティ:久保田秀敏
ルイス・ジェームズ・モリアーティ:山本一慶
セバスチャン・モラン:井澤勇貴
フレッド・ポーロック:赤澤遼太郎
ジョン・H・ワトソン:鎌苅健太
ミス・ハドソン:七木奏音
ジョージ・レストレード:髙木俊
アイリーン・アドラー:大湖せしる
マイクロフト・ホームズ:根本正勝
安島萌 荒木栄人 伊地華鈴 大澤信児
上條駿 熊田愛里 佐々木駿也 白崎誠也
桃原華恋 永咲友梨 堀部佑介 松谷嵐
Piano:境田桃子
Violin:林周雅
(敬称略)